遺言書の効力とは…

前回、前々回と今後安心して遺言書を書いていただけるように、遺言書について少しお伝えさせていただきました。
しかし、「自分には、そんなにたくさんの財産もないし遺言書なんて必要ない」と考える方も多いかと思います。
でも、ちょっと待ってください。

遺産が少なくても争いごとは起きる?


実際に遺産分割のときに争いごとへ発展してしまうのは、遺産が5,000万円以下のときが76.6%で、全体の約4分の3を占めています。そのうち遺産が1,000万円以下のときになると34%で全体の約3分の1を超えます。
これに対して遺産が5,000万円以上のときは20%に満たない数字なのです。
家庭裁判所の集計によると遺産分割の際の争いごとは増加傾向にあるようで、しかも紛争期間が長く40%近くが解決まで1年以上かかっているそうです。
なぜ、5,000万円以下の方が揉め事が多いのでしょうか?これには相続税の関係もあるとみられています。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」なので、例えば相続人が3人の場合4,800万円が非課税枠となります。なので、遺産が5,000万円を下回れば課税されることがほとんど無いため、親は遺言作成や相続紛争への備えは必要ないと考えがちです。
しかし、親が「たいした財産ではない」と思っていても、承継する側からすると「たいした財産」であることが、多いのです。
そんなときに遺言書を残しておくと、遺産分割のときの争いごと防止になるだけではなく、他にもいくつかの効力を発生させることができます。
今回は、そんな遺言書の効力についてお話いたします。

遺言書の効力とは?

では、具体的に遺言書の効力とはどんなものがあるのか、お話しいたします。
①遺産を渡したくない相続人を廃除する
これは、相続人になる予定の人の中に、被相続人(相続人される人)に対して虐待をしたり、重大な侮辱や酷い非行をした人がいた場合などで、その人に遺産を渡したくないような時は、その相続人の相続権を消滅させることができます。
②相続分の指定
遺言書がないと法定相続分で相続分が決まってしまいます。
法定相続分と違う配分をしたいときには、遺言書で指定することができます。
③遺産分割方法の指定と分割の禁止
遺産の分割方法は自分で指定することも出来ますし、誰か他の人にお願いすることも出来ます。また、5年を超えない期間で遺産分割を禁止することも出来ます。
これは、遺産分割では揉めることも多いので、冷却期間みたいなものですね。
④相続人以外への相続(遺贈)
遺言者の財産は原則として配偶者や子供など法定相続人に相続されますが、遺言で法定相続人以外の第三者、例えば慈善団体やお世話になった人などに相続財産を遺贈することができます。
⑤内縁の妻と子の認知
婚姻をしていない女性との間に子供がいた場合、遺言によって認知(自分の子供と認める)することで、その子供を相続人に加えることができます。
⑥後見人の指定
残される子供がまだ未成年で、親権者が不在となってしまう場合に、遺言者は第三者を後見人とすることで、その未成年の子供の財産管理などを委ねることができます。
⑦相続人相互の担保責任の指定
相続財産が他人のものだったり、欠陥があった場合そのような財産を相続した相続人は、他の相続人より損をしていることになりますので、他の相続人はその欠陥に対して担保責任を負うことになります。遺言者はその担保責任を負担する人や負担の割合についても指定をすることができます。
⑧遺言執行者の指定または指定の委託
遺産相続をした結果、相続財産の名義変更が生じる場合に、預貯金の名義変更や土地の変更登記のような事務手続きが必要になる場合があります。そのようなときに備えて、遺言者はこのような遺産相続を実施する上で必要になる事務手続きを行う人(遺言執行者)を指定したり、第三者を指定したり委託したりすることができます。

遺言書でもできないこと

いろいろな効力を発生させることができる遺言書ですが、そんな遺言書でもできないことがあります。それは、「遺留分の侵害」です。
遺留分とは、各相続人に対して一定の相続財産を保証する仕組みのことを言います。この「遺留分」が法律で決められているので、遺言書で遺留分を侵害するような極端な遺産配分がされている場合に、その不利益を被った相続人は「遺留分減殺請求」という手続きをすることで、公平な配分をするように請求することができます。

今回は、遺言書を作成することで生じる主な効力についてお伝えしてきました。
いろいろな効力を持たせることができる遺言書ですが、書き方や手順を間違ってしまうと遺言書の効力が無効になってしまうことがありますので、迷ったときには一度専門家にご相談ください。

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