おひとりさまの財産管理

前回のブログでは、おひとりさまの「4つの心得」のひとつ「医療・介護」について書きました。
今回は、おひとりさまの「4つの心得」の②財産管理について書いてまいります。
高齢になればなるほど判断能力や記憶力が衰え、自分の財産管理を把握したり、管理することが難しくなってきます。元気なうちに、どこにいくら財産があるのか、預貯金・有価証券などだけでなく、不動産・負債も含めて記録しておくことが大切です。
まず、いま出来ることとしては、
①自分の資産額と預け先・場所を書き出しておく
どの金融機関にどんな金融商品の形でいくら所有しているのかを書き出す。
②登記簿謄本や生命保険証書をわかる場所に置いておく
登記簿謄本や生命保険は、手元に置いておけば手続がラクになります。どこに置いたのかご自身で分からなくなってしまう前に、まとめてわかる場所に保管しておくと良いでしょう。
③銀行預金の引き出しを頼める「代理人」を決めておく
認知症などで、判断能力が著しく低下したとされた人の預金口座は凍結されてしまい、引き出せなくなることもあります。そうなってしまう前に、引き出しのできる代理人を決めて、指定しておくと良いです。
これには、「任意後見契約」や「財産管理等任意契約」などがあります。

任意後見契約とは?

任意後見契約は、高齢者が下の世代とつながる契約でもあり、受任する者が家族に限定されない社会的な高齢者支援制度です。
この契約は、当事者間の契約だけではなく、公正証書によって作成することを要件としているので、登記され、公的にも認証さレます。このことにより、第三者との契約において安全性や金融取引での信頼性が格段に担保されていると言えます。
そして、この任意後見契約の特徴は、「本人の意思の尊重」です。
これは、本人が自分にとっての「最善の利益」を健常なうちに指示しておくことができる点にあります。それは、自分自身で将来にわたって信頼関係の構築ができる人間を受任者として選択することができ、委任する代理権の範囲を自分自身の意思で選択することができるからです。
その点でいくと、ご自身の意思をより知り得る親族や友人を受任者として選択するのも良いでしょう。
しかし、本来「成年後見人(受任者)は成年被後見人(委任者)の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うにあたっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」と定められていますが、親族が後見人になった場合、親族としての立場と後見人としての立場を併せ持つため、何かを判断しなければいけない状況になったときに、どうしても親族としての立場から(親族にとって都合の良い)判断してしまうことが多いです。しかし、実際に親族にとっては都合が良くても、被後見人にはよくない場合もあります。
そういった心配がある場合は、また親族・友人には頼みにくい、介護保険サービスの適用が重要になる場合などには、法律職・福祉職の専門家を後見人として選択するのが良いと思います。

任意成年後見人は後見人の代理権の範囲

代理権の範囲については、委任者(本人)が代理権の範囲を身上看護・財産管理のすべて、あるいはその一部など、自由に選択することができます。
身上看護とは、介護サービスの契約や、施設入所契約などを行い、本人が安心して生活できる環境を整えます。
財産管理は、本人の資産や収支を把握し、適正かつ計画的に資産を維持します。
具体的な代理権付与の項目については「ライフプランシート」などを活用して、将来の本人の希望や暮らし向きを想定して検討をしていくと良いです。
例えば、
①将来はどこに住みたいか、親族と同居する意思はあるか、施設への入居を希望するかなど
②かかりつけ医はあるか、入院時に連絡して欲しい人はいるか、持病はあるかなど
③財産管理の基本方針
など、細かくチェックすることで、より委任者の意思の尊重を守ることができます。
そして、注意したいことは「任意後見契約」は本人の死亡により契約が終了してしまうため、ご本人が亡くなったあとの事務も委任する場合は、別で「死後事務契約」を締結することが必要になります。

財産管理委任契約とは

財産管理委任契約とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について代理権を与える人を選んで、具体的な管理内容を決めて委任する契約です。
先ほど説明をした「任意成年後見」との違いは、「任意成年後見」は当事者間の合意のみでは成立しなかったのに対し、「財産管理委任契約」は、当事者間の合意のみで効力が生じ、公正証書も必要なく内容は自由に定めることができます。
そして、大きな違いとしては、成年後見制度は判断能力の減退があった場合に開始されますが、財産管理委任契約は減退がない場合でも利用することができることと、死後事務についても委任することができます。
そういった意味では、「成年後見制度」よりも「財産管理委任契約」の方が自由度が高いと言えます。
ただ、逆に「財産管理委任契約」は公正証書が作成されず、後見登記もされないので社会的信用が十分とは言えないことや、監督人がいないので委任者をチェックすることが難しいです。
なので、委任内容によって「成年後見制度」を利用するか、「財産管理委任契約」を利用するか選択すると良いと思います。

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