同性パートナーと婚姻と近い法律関係を作る

現実の法制度のもとで、同性パートナーと、結婚と同様の法律関係になりたいと、考えた場合にどのような方法があるのでしょうか?
現行の法制度では、同性婚は認められていません。同性パートナーとの間に婚姻と近しい法律関係を作るためには、二つのアプローチが考えられます。まず①契約と言う形で、自分たちの権利義務関係をどうしていくのかを考え、決定し、互いに合意するというパートナーシップ契約、そして②既存の法制度を利用する方法である養子縁組です。

パートナーシップ契約について

パートナーシップ契約とは、明確な定義があるわけでなく、婚姻関係に準じた法律関係を構築するための契約全般を指します。したがって、内容が決められているわけでもないので、当事者間で内容について協議し、この点は必ず明確に決めておきたい、ここまで細かい決まりごとは必要がないというふうに、各当事者間に最も見合った内容を協議しながら決めていくことになります。

契約を結ぶときには、必ず目的があります。パートナーシップ契約の目的は、法律婚類似の法律関係を作り出すことなので、その旨を契約において明確にしておく必要があると考えられます。

具体的な内容については、同居、協力、貞操を守る義務、互いの生活費を分担する義務、家事や介護に関する役割分担、同性パートナー関係構築後にそれぞれが形成した財産についてなど、ほかには、一方の同性パートナーと異性の間に生まれていた子供がいる場合などには養育費に関する取り決めなども考えられます。
そして、特に注意が必要なのは、相続に関する内容です。
パートナーシップ契約によっては、同性パートナーを相続人とすることはできません。後でまた説明をしますが、養子縁組によって(例外的場合もあります)、同性パートナー同士が互いの法定相続人になることは可能ですが、反面、養子縁組を行わなかった場合に、お互いの相続人になることはありません。
したがって、養子縁組をしていない同性パートナーの間において、他方に財産を遺すことを望む場合は、パートナーシップを契約するのとは別に、遺言書を作成しておく必要があります。

パートナーシップ契約は、必ずしも書面で行う必要があるものではなく、口頭で成立する方法もあります。ただし、お互いが協議のうえ成立させるものであり、内容も複雑かつ多量になることもあるので、内容を明確にしておくためにも、書面で行う方がおすすめです。
書面の作成方法についても、特に決まりごとがあるわけではありませんが、双方の意思を慎重に検討して、内容に法的問題がないかを確認するために、公正証書の形式で作成すると言った方法も考えられます。


なお、渋谷区におけるパートナーシップ証明においては、渋谷区が定める事項を明記した合意契約書を、公正証書の形で作成することが必要となるなど、各自治体ごとにパートナーシップ証明を発行するために必要な提出書類は異なってきますので、各自治体のホームページなどで確認してください。

契約には、「契約自由の原則」があり、契約当事者は自由に契約内容を決定でき、合意した場合は原則としてその合意内容に拘束されることになります。そして、パートナーシップ契約においても、この原則は当然に当てはまることになります。
他方、「公序良俗の原則」によって、社会秩序を守る観点から、当事者の合意があっても有効性が認められない場合も存在します。例えば「絶対に別れない」「別れる場合は、全財産を相手に渡す」などという内容は、「公序良俗の原則」によって、無効と判断されるかと思います。
ケースバイケースではありますが、客観的に考えてその契約によって当事者を拘束させることが、一般的社会秩序から許されるのか否かという視点で考えられます。

養子縁組について

養子縁組とは、養親子間に法律上の親子関係を作り出すための制度です。
養子縁組によって、双方には扶養義務や、親子としての相続権が発生し、税務上、社会保険制度上も一定の効果が得られることになります。
他方、夫婦間に認められる、同居、協力、貞操を守る義務、婚姻費用分担の義務は当然には発生しないので、このような権利義務関係の発生を望むようであれば、先ほどのパートナーシップ契約などによる方法も併せて取る必要があります。

また、相続に関しても、法律婚のように一方の当事者が当然に法定相続人になるわけではないので、場合によって遺言等にを残しておく必要があります。

養子縁組の手続きは、養子縁組届を市役所等で用意し、同性パートナー双方と、証人2名が署名押印し、住所及び本籍といった所定事項を記載し、戸籍謄本等の必要書類を添付して役所に提出することで完了します。
書類を提出するだけなので簡単に手続きが済んでしまうものですが、問題点もあります。
それは、万が一同性パートナー同士の関係がうまくいかなくなり、養子縁組を解消しようと思っても、離縁について双方で合意できない場合には、一方の意思のみで簡単に離縁手続きが出来ない点です。そのため、養子縁組の方法を取る場合には、慎重に検討をすることが必要です。
また、養子縁組は、そもそも法律上の親子関係を発生させるための制度で、婚姻関係類似の法律関係を作り出すことを想定している制度ではないので、親子関係成立を目的としていない養子縁組が法律上有効といえるのか、後になって無効と判断される危険性はないのかの問題が残ります。
この点、単に相続を目的とする養子は一般的には有効とされていますが、判例は「養子としての精神的つながりをつくる意思」を養子縁組成立の要件としています。これまで、同性パートナーが夫婦としての関係を望んで養子縁組をしたケースで、有効性が争われた裁判例、判例は見当たりませんが、「無効とされる可能性」については認識しておく必要があります。

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