同性パートナーへの慰謝料請求

同性のパートナーと同居して、共同生活を営んでいますが、パートナーが第三者と肉体関係を持ったことが原因で、最近では会話もしないような状態になってしまいました。
そのため、パートナーとの関係を解消したいと思った時に、パートナーやパートナーと肉体関係を持った第三者に慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

パートナーへの慰謝料請求について

まず、この場合同性パートナーに慰謝料を請求できる可能性はあります。

[異性婚・内縁の場合]
婚姻関係にある場合は、相互に貞操義務が生じますので、その一方が不貞行為に及んだ場合には、他方から同不貞行為によって被った精神的損害について慰謝料請求が認められていますし、かかる不貞行為が原因により離婚に至った場合には、離婚するに至ったことに対する精神的損害について慰謝料請求が認められています。
不貞行為とは、簡単に言ってしまうと、不倫や浮気のことを言います。
また、内縁関係にある場合には、その一方当事者の不貞によって内縁が破綻した時には、内縁関係が破綻したことによる精神的損害に対する慰謝料請求が認められています。

[同性パートナーの場合]
第三者と肉体関係を持った同性パートナーに対する慰謝料請求が認められるかが争われた訴訟の控訴審判決が2020年3月に東京高等裁判所でありました。裁判長は「同性間でも婚姻に準ずる関係として法律上保護されるべきだ」と述べ、不貞行為をした側に110万円の損害賠償を命じました。
最高裁判所の判例は、男女の内縁関係について「婚姻に準ずる」と位置づけ、不当に破棄されれば賠償を求められるとしています。一審、二審判決とも同性カップルに同様の法的保護を認めました。

裁判では、アメリカで結婚をし、その後日本に住んでいた同性カップルの30代女性が、不貞行為をした相手女性に慰謝料など310万円を求めていました。当カップルが約7年間同居し、同性婚が認められているアメリカで結婚したこと、日本でも結婚式を開き、周囲に明らかにしていたこと、子育てやそのためのマンション購入を計画していたことなどから、「社会観念上の夫婦と同様だと認められる関係を形成しようとしており、婚姻に準ずる関係にあった」と認められました。

さらに、同性婚を認める国や地域が25を超えており、日本でも同性パートナシップ制度を採用する自治体が現れている社会の変化を踏まえ「同性同士というだけで法律上保護される利益を否定することはできない」と述べています。

また、パートナーシップ契約などに貞操義務条項がある場合には、同条項違反により慰謝料を請求することができます。

不貞行為の第三者への慰謝料請求について

同性パートナーの一方と肉体関係をもった第三者に対する慰謝料請求を認めた裁判例もこれを否定した裁判例も今のところはありません。
最高裁判所は、不貞行為の第三者に対する慰謝料請求について、侵害される利益を「婚姻共同生活の平和の維持が権利または法的保護に値する利益」と判示しており、婚姻していることを前提としているので、婚姻関係にない場合には、当然のこととして第三者への慰謝料請求を導くことはできません。
ただし、裁判例においては、内縁関係がある場合には、内縁当事者と不貞関係により内縁関係を破綻させた者に対しては、慰謝料請求ができるとしていますので、内縁の考えが同性パートナーに当てはまるとすれば、同性パートナーに対しても慰謝料請求ができる可能性がありますが、内縁の考え方が同性パートナーの関係に適用されるかどうかについては、考え方が分かれるところです。

また、パートナーシップ契約等に貞操義務条項がある場合でも、契約は原則として契約当事者間にのみ効力が及ぶものと考えられるため、パートナーシップ契約等に貞操義務条項があるからといって、当然に契約当事者でない第三者に対して慰謝料請求をすることはできません。
ただし、パートナーシップ契約に貞操義務条項があることを知ってながら、パートナーシップ契約の当事者と肉体関係に及んだ第三者に対しては、債権侵害として不法行為に基づく損害賠償請求が認められる可能性はあるかもしれません。

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