引きこもりの子に遺産を多く渡したい

近年、ひきこもり等で経済的自立が難しい兄弟のケアを、親亡き後に担うことへの危機感を総称した「きょうだいリスク」という言葉を耳にするようになりました。

「親亡き後」の問題は、兄弟を含めた家族全体の懸念事項です。不安定な雇用状況にある人が増加し、兄弟の数が減少している現代において、「家族の支え合い」だけでは対処できない問題が山積しています。

「親亡き後」の問題って?

ひきこもりの子供や障害を持った子供の親は、自分たち親が死んだ後のこどもの生活維持について、少なからず不安を抱えています。具体的には子供のケア・介護の担い手の問題・経済的な問題・お金や財産の管理方法・兄弟姉妹との関係性などです。

親亡き後対策は、金銭的な面からのアプローチだけでなく、相続対策や成年後見制度の活用、福祉制度の活用など多角的な視点から事前準備をすることが必要です。

厚生労働省は、ひきこもりを「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と定義づけてます。

2018年12月の内閣府の調査では、「ひきこもり」の40〜64歳が全国で推定61.3万人いるとの調査結果を発表しました。7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めました。15〜39歳の推定 54.1万人を上回り、ひきこもりの高齢化、長期化が鮮明になりました。

ひきこもりの子に遺産を多く残したい

自分が亡くなった後、外に出て働くことが難しい「ひきこもり」の子に遺産を多く渡したいと思っていても、遺産分割協議の際に他の兄弟から「働けない」状態にある子供に対して「特別受益があるのだから、相続分はないはずだ」といった主張をされてしまう可能性があります。

「特別受益」とは、被相続人からの遺贈または贈与によって相続人が受けた利益のことです。
「贈与」として想定されているのは、婚姻・養子縁組のための贈与と、生計の資本としての贈与です。お金、不動産、株式、土地の無償使用など、いろいろな財産上の利益がこれに当てはまります。

そして遺贈または贈与の額が、相続分の価額に等しかったり、その額を超えているときは、遺贈や贈与をもらった人は、その相続文を受け取ることができないと民法で定められています。
そうなってしまうと、「ひきこもり」の子に遺産を多く残すどころか、遺産が渡らなくなってしまうケースがでてきてしまいます。

「きょうだいリスク」を最小限にするには、親が健在のうちに「ひきこもり」の子の一生涯の生活を成り立たせるプランを立てて、他の兄弟に説明をしておくことが大切です。具体的な対策としては、遺言書の作成があげられますが、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言で残すのがベストです。
自筆証書遺言の場合は、検認手続きが必要になるので、ほとんどの場合「ひきこもり」の子が検認手続きに関わることは難しいと考えられます。

遺言の多くは、ひきこもりの子に法定相続分以上の遺産を渡す内容になります。他の兄弟に対しては、付言で「不平等な相続文の指定になることへの理解を求め、労いの気持ちを伝える」といった工夫も必要になります。

当事務所でも、遺言の相談を行なっていますので、お気軽にご相談ください。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。