「孤独死」の前に「孤立」をサポートする

ある一定の年齢を過ぎてくると「孤独死」の不安が出てくる方もいらっしゃるかと思います。
孤独死をする人たちは圧倒的に男性が多く、その中でも年齢が50代後半から60代に多いと言われています。
おそらく、孤独死をした人たちの多くは、生きているうちから孤立した生活を送っています。
孤立した生が孤独死を招きやすくします。生きているうちから孤立していなければ、むやみに孤独死を恐れる必要はなくなります。

孤立の測定指標が定まっているわけではないですが、先行研究を見ると①会話頻度、②頼れる人の有無、③手助けをする相手の有無、④社会活動への参加状況などが指標として挙げられています。
このうち、「会話頻度」「頼れる人の有無」だと、高齢単身男性の15.0%が「2週間に1回以下」しか会話しておらず、非高齢男性の単身男性も8.4%と高い数値が出ています。現役の時であれば職場の会話がありますが、無職の単身世帯は職場や世帯内での会話がなく、会話頻度が減ってしまいます。

「頼れる人の有無」については、高齢の単身男女、非高齢の単身男性、ひとり親世帯の4割超が「頼れる人がいない」と回答しています。
「日常の手助けをする相手の有無」は、高齢の単身男性の3割、非高齢の単身男性の2割強、ひとり親世帯の1割は、頼れる人がいないという状況です。

総じて、「高齢期及び現役期の単身男性」と「ひとり親世帯」が、他の世帯類型より孤立に陥りやすいことが推測されます。
なお、同じ単身世帯でも、女性の孤立状況は男性ほど悪化していません。この背景として考えられるのは、単身女性は別居家族との関係を持つ人の比率が高いことに加えて、高齢の単身女性は近所、現役期の単身女性は友人とのネットワークを確保している人が多いからです。

「孤独死」には、確たる定義がありません。
東京都観察医務院による東京都23宮内のデータによると、孤独死件数は年々増加傾向にあるようです。
各種の統計を総合して見てみると、「孤独死」の定義は以下の4条件を満たしたものと言えそうです。
①単身者が自宅で亡くなっている
②立ち合い人がいない
③事件性がない
④死後一定時間以上経過して発見された(「死後一定時間」は自治体ごとに違います。)

そして、この定義に当てはまったからと言って、イコール「孤独死」と呼んでしまっていいのでしょうか?そして、この定義も少し見方を変えてしまえば「孤独死」と呼べないケースも増えてきます。
では、それぞれのケースを少し掘り下げて見ていきます。

①単身者が自宅で亡くなっていた場合。こちらの取り組みとして、最近では、独居高齢者の1日1回の安否確認などに取り組む自治体も増えてきています。
しかし、これには落とし穴があり、実際に起きた孤独死が同居世帯だったというケースもあります。「家族がいれば安心」の盲点をついたケースです。家族がいても、家族ごと地域から孤立しているケースもあります。
ですので、単身者が自宅でなくなっている=「孤独死」とは限りません。

②「立ち合い人がいないと」いったのも、そもそも「立会人のいない死」にこだわるのは、亡くなる側なのか、亡くなるのを見守る側なのかどちらでしょう?臨終に立ち会いたいというのは、亡くなる側ではなく、亡くなるのを見守る側のような気もします。
家族が同居していたって、寝ていたり、外出していたりすることはあります。家族の目が離れた隙に亡くなってしまっても「立会人のいない死」になってしまうのでしょうか?
これが施設や、病院なら孤独死は避けられると思っている人も多いようですが、施設だって職員が数時間ごとに見回りに入るぐらいで、24時間看護師さんが張り付いているわけではありません。病院や施設にいれば「立会人のある死」になるとは限らないということです。

「事件性がない」というのは、自殺や他殺ではない、変死に当たらないことを意味します。
亡くなった人を見つけたときに慌てて110番や119番をせずに、「事件性はない」と判断できたら、110番などをする代わりにケアーマネージャーや訪問看護ステーション、主治医に連絡すれば「死亡診断書」を書いてもらえます。
医師法の規定では「死亡前24時間以内に患者を診療していること」が条件となっていますが、現場でのこの運用はもっと柔軟になっています。

死後一定期間経過して発見されるというのは、誰も訪れるものがおらず、社会的に孤立した生を送っていることの結果であって、その逆ではありません。一定期間経過してから発見されたとしても、イコール孤立だったとは限らないと思います。

このように「孤立死」の定義の考え方を少し変えれば、「孤独死」の件数の統計はかんたんに変わってしまいます。
調査方法や選択肢のカテゴリーを変えれば、統計データは変化します。
立会人のいない死が「孤独死」とも限らないということです。

上野千鶴子さんの本にも、本当に問題なのは死後の発見よりも、生きている間の孤立だということは、忘れないようにしたいものです。と書かれています。
我々も「生きている間の孤立」を少しでも少なくしていけるように、サポートしてまいります。

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