退職勧奨に関する問題

LGBT社員に対して退職勧奨を行う場合に留意しておくことはありますか?

退職勧奨の意義と限界

退職勧奨とは、使用者が雇用する労働者に対して自発的な退職意思の形成を働きかける説得行為であり、それを受けるかどうかは退職勧奨の対象とされた労働者が自由に決めることができます。
この退職勧奨自体は、法的な効果を生じない事実行為なので、退職勧奨を行うかどうかは基本的に使用者の自由と言えます。
しかし、退職勧奨といえども全くの無制約ではなく、使用者には被対象者の人格等への配慮などが要請されます。

LGBT社員に対して退職勧奨を行う際の留意点

まずLGBTであるということのみを理由として退職勧奨を行うことは、「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業者が適切に対処するための指針」の「第3 差別の禁止 10退職の勧奨(2)」において、以下のケースを差別に該当するとしていることが参考になります。

イ)障害者であることを理由として、障害者を退職の勧奨の対象とすること。
ロ)退職の鑑賞にあたって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
ハ)障害者を優先して退職の勧奨の対象とすること。

この点、LGBTであることと業務遂行能力との間には基本的になんの関連性もないと考えられることからすれば、LGBTであるという理由のみで退職勧奨を行うことは、LGBTへの差別・偏見に基づく行為であり、その人格権を侵害するものとして違法と判断される可能性が高いです。
また、例えば、人員削減等のために退職勧奨を実施する場合に、LGBT社員に対してのみ不利な条件を付したり、LGBT社員を他の労働者に優先して勧奨の対象とすることも、不利な差別であり違法と判断される可能性があるので注意が必要です。
もっとも、前述の通り、退職勧奨を行うこと自体は基本的には使用者の自由であるため、LGBTであることと関係なく、能力不足や非違行為を行なったなどの理由によりLGBT社員に対して退職勧奨を行うことは許容されますが、なぜ退職勧奨を行うに至ったのかという理由を合理的に説明できるようにしておくことが大切です。

LGBTであることがトラブルの発端となり、そのトラブルの解決過程で退職勧奨を実施するようなケースにおいては、かかる退職勧奨はLGBTへの差別ではないかということが、LGBTと無関係の理由による退職勧奨のケースよりも問題とされる可能性が高くなると思います。
そこで、退職勧奨を実施する前に、トラブルの解決のために当事者との協議を重ね、それでも解決の目処が立たないといった状況において退職勧奨を実施するといった慎重な対応を行うことが求められます。

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