セクシュアルマイノリティの福利厚生に関する問題

ゲイであることをカミングアウトしている社員から、同性パートナーと事実上の婚姻をした場合にも結婚休暇を付与して欲しいとの要望があった場合、異性婚には婚姻関係にあることを前提に適用が認められる福利厚生もあるので、どのような時に性的指向・性自認による差別であるなどとして問題となってしまうのでしょうか?

福利厚生の適用に関する差異

現行法では、性的指向・性自認に関する労働条件の際について、これを直接的に禁止する法律は存在していません。
あくまでも、労働契約法、労働基準法及び民法の一般条項等の現行法下の枠内で判断していくことになります。

例えば、家賃補助の支給要件として「入社3年目までの正社員で賃貸契約を締結したもの」という条件しか規定されていないにもかかわらず、セクシュアルマイノリティの社員に対してのみ家賃援助を支給しない(または減額する)などといったケースがあった場合、このような理由により不支給とすることについて合理的な理由が見出すことができないため、不支給の取り扱いは違法・無効と判断されるケースが高いと解されます。

では、前記の問いのように、ゲイである社員が同性パートナーと婚姻したことを理由に結婚休暇の取得申請をしてきた場合には、会社にはこれを認める法的義務があるのでしょうか?
そもそも「婚姻」とは、異性婚を想定しているので
①「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある相手方、すなわち法定の婚姻届出を済ませた相手方を意味すると解される
②現在の日本の婚姻制度では、同性婚を認められていないこと
③扶養義務のある同性婚のパートナーがいる労働者に対して福利厚生(結婚休暇、家族手当等)を付与することが一般的とも言えないこと
以上3つの観点から、福利厚生の付与にあたり法律上の婚姻関係にあることを前提とする規定・取り扱いが公序良俗に反するとまでは言えません。

したがって、今回のケースは、少なくとも現時点における法解釈としては、結婚休暇の取得を認める法的義務は原則としてないと言えます。
もっとも、事実婚をした社員に対しても結婚休暇の取得を認めているようなケースでは、結婚という観念を法律上の婚姻関係に限られない趣旨で解釈・運用していると考えられるので、同性婚のケースのみ休暇の取得を認めない合理的理由が見出しにくく、結婚休暇を認めないことが違法・無効と判断される可能性があることには注意が必要です。

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