海外赴任に関する問題

世界には同性愛を認めている国もあれば、法律で同性愛を禁じていて同性愛行為等が違法とされ、刑罰の対象とされる可能性がある国や地域が存在しています。
同性愛行為に対する刑罰の対象がゲイ、レズビアン、バイセクシュアルに限られるのか、トランスジェンダーやインターセックス(中間的な性)にも適用されるのか、適用されるとしてもどのような刑罰が科されるのかは、国と地域によりさまざまですが、スーダン、イラン、サウジアラビア、イエメンは最高刑が死刑とされています。
他にも、罰金刑、懲役刑が科される国もあります。

同性愛的行為とは、公共の場で体を寄せていたり、一見して同性愛者であると分かるような行動も含まれている可能性があります。(異性装者も同性愛者であるとみなされるかもしれません。)国によっては、ゲイのパーティに参加したり、レインボーフラッグを掲げたりしても逮捕されるケースもあります。
日本にいると、あまりピンとこないですがドバイで女装をしたり、エジプトでレインボーフラッグを掲げると逮捕される恐れがあります。

海外赴任といっても、さまざまな態様がありますが、少なくとも日本法人に籍を残して日本法人から指揮命令を受けて業務を行う形態での海外赴任おいては、事業主は労働者に対する安全配慮義務を抽象的には負っていると解されます。
安全配慮義務とは、社員が安全で健康に働くことができるように配慮しなければならない、会社の義務のことです。
紅葉契約書や就業規則などに明示されていなくても、雇用契約の締結に伴って会社が当然に負うべき義務であり、判例によって確立され、平成20年3月に施行された労働契約法で明文化されました。

したがって、社員に対して海外赴任を命じる場合には、安全配慮義務として当該赴任先の国や地域における、同性愛行為等に関する刑罰の有無等について調査をするという義務があると判断される可能性もあります。
赴任先の国細かな情報は細かな点が異なる可能性もあるため、外務省に問い合わせるなどして確認すると良いです。
このような情報は、海外赴任の時だけでなく、旅行に行く際にも非常に重要です。

また、調査義務を怠りゲイやレズビアンといった社員を同性愛行為が禁止されている国に赴任をさせてトラブルが生じた場合には、企業は安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任等を負担する可能性があります。

そのため企業は、同性愛行為等に関する刑罰があるような国への海外赴任を命じる社員に対しては、ゲイやレズビアンか否か(トランスジェンダー等に対する刑罰があればその点についても)について事前に確認しておく義務があると判断される可能性も否定できません。
ただし、性的指向等を確認すること自体は問題がないとしても、その開示はLGBT社員の人格権やプライバシーの問題が生じるため、その点に関する配慮は必要となります。
具体例としては、
①取得した性的指向等に関係する情報の厳格な管理
②回答の内容によってLGBT社員に対して不利益な扱いをしない
ということが、最低限必要となってくることに留意しなければなりません。

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