性別適合手術による欠勤に関する問題

トランスジェンダーの社員が、性別適合手術を受けることになり、来月から欠勤することになったときに、会社としてトランスジェンダー社員の勤怠の取り扱い等について留意すべきことはなんでしょう?

性別適合手術

トランスジェンダーが、特例法に基づき戸籍上の性別の変更を行うためには、同法3条1項4号及び5号により「生殖腺がないことまたは、生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」、「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」という要件が規定されているため、性別適合手術を受ける必要があります。
そして、性別適合手術を受けるためには、その手術内容に応じて数万円から数百万円単位の費用がかかり、手術を受けるに至る過程も含めれば、さらに費用がかかることになります。

このように、費用面も含めて考えると、トランスジェンダーが未成年の間に性別適合手術を受けることは難しいため、就労を開始してから性別適合手術を受けることを決意するというケースが多いと考えられます。
その場合に、性別適合手術を受けて勤務を開始できるようになるまでには数ヶ月がかかることもあるため、その間、労務を提供できないことになり、会社としてその期間の勤怠についてどのように対応するのかが問題になります。

性別適合手術による欠勤と勤怠に関する問題

現在は、中小企業であっても、業務外の負傷や疾病に適用される私傷病休職制度が整備されているケースが多いため、社員(期間の定めのない労働契約を締結している正社員)が私傷病により労務を提供することができない場合、有給休暇が残っていればまず有給を使用し、有給の使用ではまかなえない場合は欠勤となり、欠勤が一定期間続けば私傷病休暇制度が適用されるという流れになることが一般的かと思います。

この点で、性同一性障害を「障害」と位置付けることが適切かということにおいて、性同一性障害は、法的に疾病の一種と位置付けられているため、トランスジェンダーの社員が性別適合手術を受けることを理由に一定期間労務の提供が不可能となる場合も、会社は「業務外の傷病」として、基本的には上記と同様の流れで対応することと解されます。

もっとも、性別適合手術については、他の私傷病による手術と異なり、事前に手術に関する予定についてある程度の協議、調整をすることは可能であると思うので、トランスジェンダーの社員の側にも、可能な範囲で手術の予定を会社と協議、調整をするという配慮は求められているとも解されます。

なお、性別適合手術による欠勤の問題については、私傷病休職を適用せずに勤怠不良等を理由に解雇をすることが可能か、といった議論が生じる可能性はありますが、少なくとも医師により性同一性障害であると診断されており、性別適合手術を受けるにあたり、診断名、性別適合手術を行うこと、復帰までの期間等が記載された診断書が提出されているようなケースであれば、術後にリハビリ等を経て職場復帰できる可能性が高いと言えるため、仮にそのような理由で解雇をしたとしても、その解雇は無効とされる可能性が高いと考えられます。

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