学校が取り組むべきこと

LGBT児童生徒に対して積極的に対応をしていきたい、相談をしてもらえるように学校の体制を整えたいと考えたときに、留意しておきたい点や取り組むべき内容とはどう言ったものがあるでしょうか?

LGBTを探し出すべきではないこと

LGBT に対する差別や偏見があることから、LGBTの児童生徒は他人に自分のセクシュアリティを知られてしまうことを心配しています。本来、セクシュアリティは個人のプライバシーとして守られるべきものです。
そして、カミングアウトするかどうかももちろん個人の自由です。

したがって、学校としてはLGBTの児童生徒を探して、本人の秘密を暴くような対応は避けなければなりません。
学校が把握すべきなのは、LGBTの児童生徒の存在自体ではなく、LGBTの児童生徒にとって、課題となりやすい心理的・社会的要因をまずは把握をして、支持的な環境を作っていくことだと思います。
このような支持的な環境を作ることにより、LGBTの児童生徒が相談をしたり、助けを求めたりしやすくなり、結果的に、当事者を把握できる可能性が高まります。

基本的な考え方

学校がLGBTの児童生徒の存在を把握していなかったとしても、LGBTの児童生徒は必ず存在しています。
学校としては、LGBTの児童生徒が存在していることを前提に、学校全体で、セクシュアルマイノリティに関する啓発を行うこと、教員がそのような意識を持つことが必要です。
日頃の学校生活でも、LGBTの児童生徒が存在していることを前提にしていなければ、LGBTの児童生徒を傷つけることが少なくなります。
そして、制度作りを整えるだけでなく、LGBTについての話をタブーにせずに、偏見や差別的発言を放置しないことも重要になります。

性の多様性についての学習

LGBT教育の必要性については、広く認識されるようになりましたが、その教育方法については、さまざまな考え方があります。学習指導要領の改定においても議論がなされ、LGBT教育について学習指導要領に盛り込むなどして統一的に指導すべきという意見もありましたが、個別の相談により対応すべきとの意見も強く、平成29年3月に公示された新学習指導要領には「性の多様性」は盛り込まれず、これまでと変わらない「思春期になると異性への関心が芽生える」という記載が教科書に残ったままです。
これに対して「同性愛を無視した記述を変えるべき」「LGBTを指導内容に入れてほしい」という声もありましたが、それらの意見は文科省により却下されてしまいました。

もっとも、LGBT教育については、人権教育、道徳教育、保健体育などの授業の一環として取り組むことができます。
その学習の際に、留意すべきなのは「セクシュアルマイノリティ」という限られた人たちの問題として学習するのではなく、異性愛者やシスジェンダー(性自認と生物学的性別に違和感がない人)といったマジョリティをも含めた「性の多様性」を学習することです。
LGBTを知り、理解することだけでは十分ではありません。
いわゆる男はこうあるべき、女はこうあるべきというジェンダーバイアスに対する疑問、セクシュアリティは個性であり多様であるということ、セクシュアリティは他人の問題ではなく、自分の問題でもあることなどを学習した上で、LGBTの児童生徒を含めた全員が生活しやすい学校、社会をどうやって作っていくかを考えていくことが重要です。

肯定的なメッセージを送ること

LGBTの児童生徒に、学校がLGBTの存在を前提とする配慮をしていることや先生が肯定的なメッセージを送っていることが伝われば、困ったときに相談してくれる可能性が高まります。
そのための工夫としては、教職員や保護者に対する研修を行い、そのことを児童生徒にもわかるように学校便りなどで伝えること、相談窓口を設けアナウンスをすること、保健室や廊下の掲示板等に、性の多様性やセクシュアルマイノリティに関するポスターや新聞記事などを掲示すること、保健室、図書室、学校文庫などに性の多様性に関する書籍を置くことなどが考えられます。
しかし、掲示されたポスターを見たり、書籍を読んだりしたことで、かえってからかわれてしまうこともあるようです。
そのため、書籍の置き場所を保健室や教職員から絶えず目の届く範囲に限定するなど、工夫をしている学校もあります。

また、LGBTの児童生徒だけに伝わるメッセージの伝え方をするという工夫もあります。
ある中学校では、保健室に、レインボーフラッグを掲示していますが、生徒たちにはあえて、その意味を何も説明をしていないそうです。
LGBTでない生徒にとっては、ただの虹色の飾りですが、LGBTの生徒には、自分の存在を認めてくれる人がいることが伝わります。こういった、必要な人にだけ伝わる伝え方もあることは認識しておく必要があります。

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