不動産の遺産分割

不動産には土地と建物があります。
不動産を含め、遺産の全ては一旦相続人全員の共有となります。(このことを「遺産分割前の共有」と言います。)

不動産相続の問題点

相続が発生した時点で各不動産について、相続を原因とする所有権移転の共有登記ができます。
しかし、共有登記をしなくても共有物であるということに変わりはなく、特別の事情がない限り遺産分割を待ってその不動産を承継した人が登記をするという流れがほとんどです。
この共有登記手続きは、共有物の保存行為となりますので相続人の一人が単独で申請することができます。相続人の債権者も債権者代位権により共有登記を申請することができます。
また、この共有持分権は譲渡もできますし、債権者から差し押さえをすることもできます。
遺産のうち不動産は一個だけという場合には、遺産分割協議により他の遺産は分割して、その不動産だけは共有のままにしておくという場合も多々あります。

遺産の中で不動産は大きな割合を占めるため、誰が相続するのかという問題と並んで、評価額が最も問題になりやすいです。
不動産の評価方法には、原価法、比較法、収益法の三つがあります。
家庭裁判所の鑑定では、東京都宅地建物取引業会発行の「東京都地価図都市計画図」、大阪では大阪府宅地建物取引業協会発行の「大阪府宅地価格地点図」により、種々の比較を加えて評価しているようです。

遺産分割協議において、相続人間の話し合いで決めることができればそれで良いのですが、万が一決めきらない場合不動産鑑定士に鑑定を頼むという選択肢もありますが、管理の費用がかかってしまうので、手短な方法としては当該不動産の近くにある不動産会社に聞くのが良いかと思います。

①宅地その他の土地の評価
税務方式で評価額を決める場合には、地域の税務署で調べれば扱いがわかります。これには、路線価方式と倍率方式とがあり、どちらを取り、いくらに評価するか資料で公開されています。
地方自治体の固定資産税のための評価も当事者なら評価証明が取れるので、こちらも参考にすると良いでしょう。

②農地、山林の評価
税務署でもそれぞれ特殊な評価方法がありますので、これについても税務署でどういう評価になっているのか確認をしてください。

③借家・貸地の評価
借家・貸地の評価額は、地域により異なります。借地権は更地価格の6〜7割と見るのが妥当で、その借地権分を差し引いた価格が貸地の評価額になります。

④家屋の評価
大体、固定資産税の評価によりますので、地方自治体(市区町村役場)で確認をしてください。

⑤借家・貸家の評価
これも更地価格に借家権割合をかけて算出しますが、地域により割合が異なります。古い家屋は評価が低くなってしまいます。

不動産の遺産分割で、特に問題となるのが遺産が被相続人が住んでいた自宅しかない場合です。
さらに、その自宅に相続人が住んでいる場合には深刻な問題となります。
こうした場合、代償分割による方法も検討することになります。

遺産分割協議が成立した後は、その不動産を遺産分割により所有することになった人は、登記手続きに入ります。登記が終わると遺産分割前の共有は解消され、単独所有または新しい共有となります。
なお、遺産分割前の共有については、対抗要件としての登記は不要です。なぜなら被相続人が死後に不動産を処分できることはないですし、相続自体は法的に当然のことになりますので、対抗要件は必要ないことになります。

これに対して、遺産分割後は共有持分の二重処分の可能性があることから、対抗要件としての登記が必要になるので注意が必要です。

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