株式など有価証券の遺産分割方法

有価証券とは、一般には「財産的価値のある権利を標章する証券」を指し、例えば、手形や小切手、株券、社債権等がその代表と言えます。これらも重要な遺産となります。
一般的に、個人の相続において問題となりやすいのは「株券」(株式)です。
株券発行会社の場合には株券(株式の預託)があって初めて財産となります。
ところが従来までは、株式会社は株券を発行するのが原則とされていましたが、現在の会社法では定款で株式を発行する旨を定めた会社のみが発行し、原則として、株券の発行はされていません。
会社法執行前からの会社では、なお、株券が発行されている会社もありますが、現在では多くの会社で株券が発行されていないのが現実となります。
ただ、会社に対する株主の権利である株式については、「有価証券」と理解されていますので、それを前提として株式についてお話をしていきます。

株式は、株主名簿によって管理されていますが、たとえ会社の株主名簿に名義だけあっても、株券が既に譲渡されてしまっていれば譲受人の権利になってしまい、遺産とはなりません。
株式が電子化されて株券が発行されていない会社では、当事者の意思によって株式の譲渡がなされます。
上場会社などの口座振替制度の対象となっている株式については、その振替口座簿の記載によって株主が誰かが決定されます。一方、非上場会社などにおいては、株式の移転は当事者の意思表示で効力が生じますので、名義が誰になっているのかが問題になります。

なお、株式は可分の権利なので、相続分に応じて分割され、必ずしも遺産分割協議の対象になりません。
上場株は取引相場があるので、分割の時に特定の日(被相続人が死亡した日)、または一定期間を定めて平均値を取るといった方法で算定します。
税務上は、取引所における時価として、相続日、相続の月、前月、前々月の終値の月額平均のうちに最低価格をとります。(参考)
気配相場のある株(日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄、公開途上にある株式を言います。)は、新聞に公表されている価格と類似業種の準価格の平均を取ることもできます。
取引相場のない非上場株式が問題となります。家業・事業を株式会社にしてある事例は多いからです。
非上場株式の評価はかなり困難で、純資産評価方式、収益還元方式、配当還元方式、類似業種比準方式などがありますが、正式には専門家(公認会計士など)の鑑定が必要になります。

ただし、相続人は身内なので、非上場株の対象となっている資産や事業内容は互いにほぼ分かっていることが多いでしょう。
その中身の評価が、総株式の価格になる。その評価も協議で決めることが望ましいのですが、争いとなり審判手続きとなっても、一同が大方異論のないところの評価があれば、それを前提にした審判が下されることになると思います。
なお、その株式を誰が持っていたかという、状況により相続財産になったり、ならなかったりすることもあります。
株券は、転々と譲渡をすることができる、株式名簿(台帳)の記載で決まるものではなく、その時株券を誰が所持しているかが大事になります。
被相続人の株券を誰かが保管していたとしても、被相続人の所有であることが明らかな場合には相続財産となります。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

前の記事

動産の遺産分割方法

次の記事

遺産分割のトラブル