認知症の方が相続人だった場合の遺産分割協議

相続人の中に認知症の方がいらっしゃった場合、遺産分割ができない可能性が出てきます。
認知症が進行して自分では財産処分や管理ができない状態になっていると、遺産分割協議を成立することができないからです。判断能力が低下してしまった相続人に無理に遺産分割協議書に署名押印をしてもらっても、その遺産分割協議書は無効です。
相続人の中に認知症の方がいた場合の対処方法を今回はお伝えしていきます。

遺産分割協議の成立に必要な「意思能力」

遺産分割協議を有効に成立させるには、最低限の判断能力である「意思能力」が必要になります。
意思能力とは、自分の法律行為の意味を認識し判断できる能力のことを言います。
認知症が進行してしまって意思能力が失われてしまうと、本人が遺産分割協議に参加をして協議を進めることができません。

このような場合には、認知症の相続人に「成年後見人」を選任する必要があります。成年後見人とは、判断能力が低下してしまったり、失ってしまった方の代わりに財産管理や身上看護に関する決定をする人です。
成年後見人が選任されると、本人に代わって成年後見人が財産管理を行うことになるのですが、その一環として成年後見人が遺産分割協議に参加して遺産分割協議書に署名押印をすると、有効に遺産分割協議を成立させることが可能になります。

成年後見の申請手続き等につきましてはこちらも併せてご覧ください。

成年後見人の選任

成年後見人を選任するためには、本人の住所地の家庭裁判所で選任の申し立てを行います。
必要書類
・申立書、申立書附票
家庭裁判所に書式があるので、自分たちで作成します。
・候補者についての身上書
成年後見人の候補者についての情報を書きます。
・親族関係図
被後見人の親族関係を示す図面です。
・財産目録
・収支予定表
今後の日後見人の収入と収支の予定をまとめます。
・診断書
医師に認知症の状態について診断書を作成してもらいます。
・本人情報シート
本人の状態について、ケアマネージャーなどに作成してもらいます。
・本人の健康状態が分かる資料
要介護度などが分かる資料など
・登記されていないことの証明書
すでに成年後見人がついていないことの証明書です。
東京法務局から郵送で取り寄せるのが便利です。

候補者について
成年後見人には、候補者を立てることも可能です。
親族を候補者にすることもできますが、親族間で意見が合わない場合や財産が高額な場合などには、裁判所の判断で弁護士や司法書士など専門家が選ばれる可能性が高くなります。

成年後見人を選任したあとの手続き

成年後見人が選任されたら、その人が参加して遺産分割協議を進めます。
認知症の本人の代わりに成年後見人が署名押印すれば、有効な遺産分割協議書を作成して不動産の名義変更などの手続きが行えます。
ただし、成年後見人の職務は遺産分割後も継続します。
基本的には、認知症が軽快して本人が意思能力を取り戻すか、本人が死亡するまで成年後見人の職務は終わりません。就任中は、毎年家庭裁判所へ財産目録や収支の報告を継続する必要があります。
親族がこうした職務を行うのが負担な場合、始めから弁護士などの専門家を候補にすることもできます。
弊所でも成年後見人のご相談は随時受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

成年後見人とよく比較されるのに、任意後見という制度もあります。この両者の違いにつきましては、こちらの記事も併せてご覧ください。

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