「信託による寄付」と「遺言による寄付」の違い

遺贈寄付をしようと考えたときに、通常「遺言」を思い浮かべますが、「信託」の仕組みを利用すれば遺言がなくても遺贈寄付を実現することができます。
「信託」というと、信託銀行とお取引のない方は「自分とは関係ない」と思ってしまう方も多いかもしれませんが、直接関わりがなくても、意外に身近なところで信託は活用されています。

もう少し、信託の仕組みを詳しく見てみましょう。
信託は「委託者(財産を預ける人)」「受託者(財産を預かって管理・運用する人)」「受益者(恩恵を受ける人)」の関係で成り立っています。

信託の仕組みを理解する上で重要なポイントが2つあります。
一つ目は、信託された財産の所有権が受託者に移ることです。つまり、元々は委託者の財産だった信託財産は、委託者の手を離れて受託者の名義になるということです。
委託者の立場からすると、少し不安に思われるでしょう。
そこでポイントの二つ目です。信託財産を管理する受託者は、信託法や信託行法の法令により、様々な業務が課され監督されているということです。
受託者は、大切な財産の所有者となり管理する重い責任を負いますので、安全に管理される制度が整えられているのです。

信託は公益目的に使えますので、寄付や遺贈寄付にも利用することができ、様々な金融サービスが存在しています。
信託による寄付の場合は、財産が受託者に移転して管理されることになるので、確実に遺贈寄付が実行されることになりますが、遺言による寄付の場合には「意思を紙に書く」だけなので、誤って寄付する財産を使われてしまう、遺言が書き換えられてしまう、紛失してしまうなどの可能性が出てきます。

信託による寄付は、一般的に商品化された金融サービスを利用するためあらかじめ受託者が用意した申し込み用紙や契約書等に記入するだけで、簡単に手続きが完了します。
これに対して、遺言書の場合はひな形に沿って書いた場合であっても、家族構成や財産内容はそれぞれ異なりますので、正確に作成するのが難しいこともあります。

「遺言信託」という言葉がありますが、これは遺言を使ったサービスで信託銀行等が取り扱いをしています。
遺言で財産配分の意思表示をしますので、信託のように財産が受託者に移転しません。
遺言者(委任者)は受託者(受任者)と、遺言書の保管や遺言の執行などに関する契約を結びますが、預けるのは財産ではなく遺言書だけです。
「信託」の文字が入ってはいますが、実際には信託の機能は全くありません。

手続きが簡単で確実に遺贈寄付ができる「信託」ですが、実際に利用できるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
・遺言代用信託
金銭を信託して、死亡後に受益者に寄付をします。
遺言に類似する機能を有しますが、遺言を作成する必要がありません。100万円から利用可能で、途中で解約できる金融機関もあります。

・特定寄付信託
信託銀行等が契約した公益法人等の中から寄付先を指定します。
信託した金銭を分割して定期的に寄付をします。委託者が途中で亡くなった場合には、残額が一括寄付される仕組みになります。10万円から利用が可能な金融機関もあります。原則として途中解約ができません。

・生命保険信託
生命保険に加入するとともに、信託契約を締結します。
死亡保険金の受取人を信託銀行等に指定し、信託金を分割して定期的に受益者に交付します。受益者に交易団体を指定すれば、遺贈寄付にも利用することができます。
月額少額の保険料で、大きな金額の寄付ができます。

信託による寄付でも、遺言による寄付と同じように寄付した財産は遺留分計算の対象になります。
信託した時点で、所有者は委託者から受託者に移転しますが、相続財産の一部であるとみなされますので、遺留分を侵害するような多額の信託で遺贈寄付してしますと、寄付を受けた団体が相続人から遺留分侵害額請求権を受けてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

また、信託で寄付する契約をした後に、不足の事態でお金が必要になったとしても、信託を途中解約ができるものとできないものがあることにも注意してください。
信託契約をする際には、将来の施設入所や病気などを考慮して、余裕を持った設定にしましょう。

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