同性パートナーの相続と養子縁組

同性パートナー同士で相続を考えたときに、有効なて立ての一つが養子縁組になります。
法律上の親子になることで、相続税控除の免除が受けられるといったメリットがあるからです。ただ、これには注意点もありますので今回は、養子縁組の効力と注意点をお伝えしてまいります。

現在の日本では、同性婚が認められていないため、同性カップルが養子縁組をして法律上の親子になることで、法律上は規定のない同性カップル間に法律関係が成立することになり、様々なことが可能になることが養子縁組の「メリット」になります。
外国人パートナーを養子にすれば、日本での在留資格が与えられるとの誤解もありますが、そういうことはありませんので注意が必要です。

日本では、双方が成年あれば自由に養子縁組をすることができます。
ただ、年上のパートナーを養子することはできませんので、1日でも早く生まれた方が養親になることが定められています。

養子縁組の手続き方法ですが、まず必要書類を揃えて役場の戸籍窓口で養子縁組の届け出をします。
養子縁組には、成人二人の証人が必要になります。また、未成年者を養子にする場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要です。
養子縁組を解消する際には、自由に離縁をすることができますが、離縁の話し合いがこじれてしまった場合は家庭裁判所に申し立てをして、調停を行うこともできます。

養子縁組のメリットとデメリット

養子縁組をすると、一方がなくなったときは法定相続権が発生します。
養親が亡くなれば養子が、養子が亡くなれば養親が相続人になります。
また、多額の遺産があって相続税が発生する場合でも遺言で遺贈する場合と異なり、親族として相続するという扱いになりますので、様々な控除や財産評価額に関する特例を受けることができますので、相続税がかからなかったり、あるいはかかっても少額に抑えられることがほとんどです。

不動産所有権の変更登記をする場合も、登記の税額が不動産価額の1000分の4であり、遺言で遺贈する場合は1000分の20と、5倍も違います。

また、厚生年金から遺族年金が受給できる場合もあります。
生前におきましても、「家族(親族)」を条件とするサービスや商品も購入しやすいです。生命保険の受取人に指定することができますし、携帯電話などの家族割を利用することもできます。
親族同居要件のある公営住宅への申し込みも受理されます。同性2人が敬遠されがちという民間賃貸住宅の契約もスムーズに行えるでしょう。また、住宅ローンの共同ローンを組める可能性が高まります。
公営住宅については、自治体のパートナシップ制度に登録することで受理される自治体も多くなってきています。

医療や介護などの場面では、保護者として、あるいは患者の意思決定の代行者としてみなされますので、医療現場での看護・面会や病状証明での同席、本人の重篤時のキーパーソンとして医療者たちの理解を得られやすいのです。
ただし、認知症や植物状態など本人の判断能力が失われたとき、財産処分や契約といった法律行為の代理は、親子だからといって無条件にできるものではありません。
一親等(親子はお互に一親等になります)の親族として、裁判所に法定後見人を申し立て後見人となるか、あらかじめ2人の間で委任契約や任意貢献契約を交わしておくことも考えておきましょう。

また養子縁組のデメリットですが、養子は養親の氏を称することになります。
パスポートや保険証、銀行などの届け出など様々な公私にわたる書類・届出の名字の変更をしなければなりません。
また、勤め先などに告知する必要があります。
戸籍上にも縁組の記録が残りますので、両親が戸籍を取った場合には、縁組の事実が分かることになります。このため、一旦分籍して自分の戸籍を孤立させてから縁組するケースが多いです。

争いになるケースとしては、養親が亡くなった場合に、養子は全財産への相続権がありますが、養子関係を親族に告げていない場合には、養子と養親側の親族とのトラブルになるかもしれません。
また、養子側が先に亡くなった場合、養親の他に養子の実父母も相続人となり、遺言がない場合には養親と実親とで遺産分割協議をする必要があります。

そして、現民法では養親子関係にあったものは、離縁をして親族関係を終了した後でも婚姻をすることができないとしています。遠い将来、日本でも同性婚制度が認められた場合には、養親子関係にあったことはリスクとなる場合もあります。

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同性パートナーの相続と養子縁組” に対して3件のコメントがあります。

  1. Frenchy より:

    同性婚が認められていない日本では、パートナーに財産を残すのに多額の相続税等がかかり悩んでいます。。パートナーが外国籍の方の場合、養子縁組は可能でしょうか。

    1. r.asako より:

      外国籍の方と養子縁組をすることは可能ですが、以下が条件になります。
      ※養子縁組の実質的成立要件に関する準拠法(どちらの国の法律を用いるか)は、養親となる者の本国法となりますので、日本の法律が用いられます。

      ※日本の養子縁組の要件とは

      ・養親及び養子の縁組の意思の合致
      ・養親となる者の年齢が、成年に達していること
      ・養子が、養親の尊属又は年長者ではないこと
      ・後見人が被後見人を養子とする場合などには、家庭裁判所の許可があること
      ・配偶者のいる者が未成年者を養子とする場合、その配偶者と共に養子とすること。(ただし、配偶者の嫡出(婚姻関係での出産)である子を養子とする場合や、配偶者がその意思を表示することが出来ない場合は、夫婦の一方のみで養子縁組をすることが出来る。)
      ・配偶者のいる者が養子縁組をする場合、配偶者の同意があること(ただし、配偶者と共に養子縁組をする場合や、配偶者がその意思を表示することが出来ない場合は不要。)
      ・15歳未満のものを養子とする場合、法定代理人などによる子の代諾があること
      ・未成年者を養子とする場合、家庭裁判所の許可があること(ただし、事故又は配偶者の直系卑属を養子とする場合には不要。)
      また、養子となる者の本国の法律が要求する保護要件も満たさなければなりません。

      保護要件とは、養子となる者自身や第三者の承諾、同意、公的機関による許可などです。

      ※養子縁組の手続きの形式的要件に関する準拠法は、養親となる者の本国法又は行為地法となりますので、養親が日本人であれば養子縁組の届出により成立します。

      もし、行為地法に基づき、外国の方式で養子縁組を行った場合は、養親となった日本人は、3ヶ月以内に縁組証書の謄本をその国の日本大使館(領事館)に提出しなければなりません。

      ⇒日本で養子縁組の手続きをする場合

      養親となる者と養子となる者とが、二名以上の承認が署名した書面で養親の本籍地又は所在地の市区町村役場へ養子縁組の届出を行います。(郵送可)

      ※必要書類

      養親となる者の戸籍謄本 未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の審判書謄本 同意を要する場合は同意書 養子となる者の出生証明書 養子となる者の国籍証明書 その他、保護要件に関する資料(養子の本国官憲の発行した要件を具備している証明書がある場合は、養子となる者の保護要件が備わっているものとして取り扱ってよいとされています。)

      ⇒外国で養子縁組の手続きをする場合

      1.日本法の方法による場合

      外国に滞在している日本人間で養子縁組する場合は、日本の大使館(領事館)に対して届出を行うことが出来る。

      しかし、養子が外国人の場合は、大使館(領事館)への届出は出来ません。

      養子が外国人の場合で日本法の方法による場合は、養親の本籍地の市区町村役場へ郵送により行います。 

      2.行為地方の方法による場合

      外国に滞在している当事者が、その国の法律による方法により養子縁組を行うことで成立します。(この場合、3ヶ月以内に縁組証書の謄本を日本の大使館(領事館)/それらがない場合は本籍地の市区町村役場)に提出しなければなりません。

  2. Frenchy より:

    ご回答、ありがとうございます。日本人の私が養親でパートナーは40歳を超えているので特に問題はないと理解しまた。追加の質問で恐縮ですが、パートナーはフランス人で日本の永住権を持ってはいますが、国籍はフランスのままです。養子縁組をする場合、またはした後、国籍の変更、帰化が必要になるのでしょうか?また、養子縁組をするのに年齢の上限はありますか?よろしくお願いいたします。

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