相続回復請求権とは

「本来は相続人ではない人」が遺産を取得してしまったら、本当の相続人はどのようにして取り戻せば良いのでしょうか。このようなとき、真正な相続人は「相続回復請求権」を主張して遺産を取り戻せる可能性があります。
今回は、相続回復請求権とは何か、具体的に取り戻すための手続き等についてお伝えいたします。

相続回復請求権とは

相続回復請求権は、相続人ではないのに相続人であるかのように振る舞う人に対して、申請な相続人が相続財産の取り戻しを請求する権利を言います。
このように、相続人の相続権を侵害している人(相続回復請求権の相手方)を「表見相続人」と言います。
ただし、共同相続人であっても、自分の法定相続分を超えて他の相続人の権利を侵害していたら相続回復請求権の対象になります。

相続回復請求権は、個別の財産を取り戻す権利ではありません。あくまでも包括的に遺産全体の返還を請求できる権利になります。相続人の権利が侵害されていたら妨害排除請求もできます。
例えば、無権利者が不動産を占有しているような場合には退去を求めることも可能になります。

相続回復請求権が認められるのは、以下のような人になります。
・申請な相続人
・申請な相続人から相続した人
・相続分の譲受人
・包括受遺者
・遺言執行者
・相続財産管理人

ただし、不動産や預貯金などの「特定遺産の承継人」は相続回復権を主張することができません。

相続回復請求権の相手方には「表見相続人」と「共同相続人」の二種類があります。
表見相続人とは、実際には相続権がないのに相続財産を処分したり占有したりしている人を言います。
具体的には、
・相続欠格者
・相続廃除された人
・親子でないのに出生届を出された人
・婚姻が無効となった配偶者
・養子縁組が無効となった養子
・その他の第三者

共同相続人とは、自分の相続分を超えて遺産を利用占有しているような場合には、相続回復請求権の対象になります。

相続回復請求権の時効

相続回復請求権には時効があるので注意が必要です。時効期間は「相続権の侵害を知ってから5年以内」に請求をしなければなりません。
また相続権の侵害を知らなくても、相続が発生してから20年が経過してしまうと権利が消滅してしまいます。

共同相続人が相続権を侵害した場合には、必ずしも5年の時効は適用されません。
この場合には、「侵害者が善意で合理的な理由がある場合」のみ5年の時効が適用されることになります。これは、故意に他の相続人の相続権を侵害しておきながら、5年間返還しなかったら時効取得できるというのは不合理だからです。
通常、遺産を独り占めしている共同相続人は「他の相続人の相続権を侵害している」と認識しているはずです。その場合、侵害されたことを知って5年を過ぎていても相続回復請求権を行使して遺産を取り戻せる可能性があります。

また、相続権の侵害者が共同相続人以外の相続人であっても、時効を止める方法があります。
「相続権の侵害を知ってから5年以内に」訴訟を起こせば、時効は止まることになります。訴訟を起こした時点で時効が「完成猶予」となり、判決が出たら「更新」されて時効が10年間延長されると考えてください。
また、相手が遺産の返還義務を認めた場合にも時効は更新されて、5年間延長されます。

このほかには、第三者が遺産を占有している場合、そのまま他社へ売却してしまったり、譲渡したりするケースもあります。
このような「表見相続人からの譲受人」は時効を主張できるのでしょうか?
法律的には、表見相続人の譲受人は相続回復請求権の時効を援用できないと考えられています。
ただし「一般の取得時効」は援用できる可能性があります。取得時効の年数は、占有者が善意無過失(何も知らずに受け取っていて、そのことに過失がなかったような場合)なら10年間、そうでない場合には20年間です。

まとめますと、表見代理人は「相続回復権の時効」、表見相続人からの譲受人は「取得時効」を請求して返還を拒める可能性があるということになります。

相続回復請求権を行使する方法

・相手と話し合う
まずは侵害者と直接話し合いをして返還を求めましょう。なお、裁判外の請求によっても時効を止めることは可能ですので、5年の時効が近づいてきたら、証拠を残すために内容証明郵便を使って相続回復請求権に基づく請求書を送りましょう。
話し合いによって、合意することができたら「合意書」作成して遺産を返還してもらうことになります。
合意書は必要に応じて公正証書として作成することも検討してください。

・訴訟を起こす
話し合いで解決しない場合には、訴訟を起こす必要があります。
被告(相手方)の住所地を管轄している地方裁判所に訴訟を起こすことになります。訴訟を起こせば時効が止まりますし、訴訟で相続権の侵害を立証することができれば、裁判所が遺産の返還命令を出してくれます。
相手が、返還に応じないような場合には、強制執行(差し押さえ)によって取り立てることも可能です。

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