エンディングノートに書いた遺言は有効?

エンディングノートに、他界した後に自分の財産をどのように分けて欲しいのか書き残した場合、その遺志は法的に有効なのでしょうか。同じ内容を書いた場合にエンディングノートに書いた時と、遺言書に書き残した場合とでは意味合いが異なってくるのでしょうか。
今回は、エンディングノートと遺言書の違いについてお伝えいたします。

法的な意味が違います

近年、人生の終わりに向けての活動「終活」が社会の潮流となっており、エンディングノートに関心を持つ方も増えてきています。
エンディングノートは、もしもの時に備えて、自分自身やご家族のために自分の情報を一冊にまとめておけるノートになります。現在では、複数の出版社から多種多様なエンディングノートが販売されています。
自分が今後入院してしまったときや、他界した時にはご家族が遺されたエンディングノートを参考にして行動をすることができますので、書いておくと安心です。

エンディングノートを書き始める前に知っておきたいことは、作成する方法にもよりますが、エンディングノートには基本的に法的効力がないということです。
そのため、エンディングノートに書かれた内容は、あくまでもご家族や相続人に対する「お願いごと」に過ぎません。これに対して、遺言書には基本的に法的効力があります。

エンディングノートと遺言書では、このような違いがあることを知っておいてください。
法的に有効な形で自分の遺志を残したい場合には、エンディングノートとは別に、遺言書を作成しておく必要があります。

ただし、どんな遺言書でも法的に有効になるというものでもなく、有効になるものは民法に定められた方法に従って作成された遺言書に限られます。
遺言書の方式は民法上多数規定されていますが、自筆証書遺言か公正証書遺言のいずれかの方法で作成するのがほとんどです。

自筆証書遺言とは、遺言者が手書き(自書)をする遺言です。昨年から、作成した自筆証書遺言を法務局で預かってもらうことが可能になりました。
公正証書遺言とは、公証人が遺言書から聞いた内容を文章にまとめ、公正証書として作成する遺言書です。
基本的には、公証役場に行って作成することになりますが、病院などに出張してもらうことが可能です。

エンディングノートに法的効力はありません

エンディングノートにかける内容には制限がなく、何でも自由に書くことができます。
例えば、資産、気になること、家族、親族、友人、知人へメッセージ、医療介護、葬儀・お墓、その他諸々幅広い事項について記載することができます。
もちろん、これら全てを記載する必要はなく、家族に知っておいて欲しい事項を自由に書いていただくことができます。
ただし、冒頭で書いたとおりエンディングノートには法的な効力はありませんので、エンディングノートを作成しておけば安心というわけにはいきません。エンディングノートと遺言書の役割を理解してうまく使い分けることが大切です。
では、遺言書にはどのようなことを書けば良いのでしょうか。

遺言書は、記載しておけばいかなる事項でも法的な効力が認められるわけではありません。そのため、法的な効力が認められる事項を理解しつつ、書く内容を決めていくことが必要です。
法的な効力が認められるものとしては、推定相続人の廃除、相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺贈、遺言執行者の指定、祭祀承継者の指定などです。
なお、法的な効力はありませんが、ご家族への感謝や遺産の分け方を指定した理由などを書くこともできます。

推定相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人から虐待や侮辱等を受けたことを理由に、その人の相続権をなくす制度のことを言います。ただし、遺言書に書いておけば当然に相続権をなくすことができるわけではなく、このことを家庭裁判所に認めてもらう必要があります。
相続権をなくすという強い効力があることから、家庭裁判所も慎重に判断する傾向があり、認められるケースは決して多くありません。

相続分の指定については、遺言がなければ民法上で定められた相続分(法定相続分)に従って遺産を分割することになりますが、遺言書を残しておくことで、法定相続分とは異なる割合で相続分を指定することができます。
指定の方法には、いくつかの種類がありますが、一般的なものは特定の財産を特定の相続人に取得させることを指定するものです。

遺贈とは、遺言によって財産を譲り渡すことを遺贈と言います。相続人に限らず、第三者に遺贈することもできます。例えば、法定相続人でない親族や友人・知人に財産を譲り渡すケースや公益的な活動をする法人などに財産を寄付するケースなどです。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現することを遺言の執行と言いますが、この遺言に書かれた内容を実現する人のことを言います。遺言書で、遺言の執行を任せる人物を指定することができます。

祖先の祭祀を主宰すべき者を祭祀承継者と言いますが、その者を遺言書で指定することができます。
指定を受けたものは、系譜(家系図)や祭具(神棚や位牌、仏壇など)、墳墓(墓石や墓地)などの祭祀財産の所有権を取得することになります。祭祀承継者をめぐる紛争は多いので、あらかじめ遺言書で指定しておくと安心です。

以上の通り、自分の財産をどのように相続して欲しいかにつきましては、法的な効力のある遺言書に記載しておくのが良いでしょう。

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