滞納されていた税金の支払い義務は?

親が、固定資産税や住民税などの税金を滞納したままなくなってしまった場合、その滞納税の取り扱いはどうなるのでしょうか。相続人に支払う義務があるのか、滞納状態にしてしまうリスクなどについてお伝えいたします。

結論から言ってしまうと、相続人は被相続人が滞納した税金を支払う義務があります。
被相続人の遺産には、預貯金や不動産などの「プラス財産」だけでなく、借入金や滞納税などの「マイナス財産」もあり、原則として全て相続人に承継されることになります。
相続人が2人いる場合には、民法の法定相続分に従って各相続人が承継をすることになります。

滞納税が承継された場合、地方自治体より死亡した税金滞納者の相続人調査等が行われ、相続人に対して「納税義務承継通知書」という書類が送られてきます。
書類が送付されて、相続放棄や限定承認等を行わずに滞納状態のまま放置してしまうと相続人に対して滞納処分が行われることになります。
滞納処分とは、税金滞納者の意思に関わらず滞納税を徴収するために、財産を差し押さえ差し押さえた財産を換価し、滞納税に充当するという一連の手続きです。税金滞納者であった被相続人に対して、生前に督促または滞納処分が行われている場合、相続人がその督促または滞納処分されている状態をそのまま引き継ぐことになります。

・地方税の滞納処分の流れ
①督促
納期限までに納税されないぜ金について、納期限から20日以内に督促状が送付されます。
②電話や文書等による催告
督促状が送付されても納税されない場合には、電話や文書などで納税の催告が行われます。ここで地方自治体の担当者と税金滞納者との納付交渉の結果、分割納付による場合や徴収猶予制度による場合もあります。ただし、徴収猶予が認められるのは、災害等の一定の事由により一時的に納付が困難と認められる場合のみになります。
③財産調査
督促や催告を行っても納税されない場合には、官公署、金融機関、勤務先、滞納者の財産を有する第三者等に対して財産調査が行われることになります。この場合に、財産調査に対し、税金滞納者本人の承諾は不要とされています。
④財産の差し押さえ
財産調査により差し押さえる財産が決まり、税金滞納者の財産が差し押さえられます。差し押さえられた財産については、税金滞納者の意思に関わりなく法律上の処分(売買、贈与)や事実上の処分(毀損、破棄)が禁止されます。
⑤換価処分・配当
差し押さえられた財産は、原則として強制的に換価されます。例えば、差し押さえた財産が不動産の場合は公売(入札または競り売り)によって売却することで、その売却代金が滞納税に充当されます。なお、滞納税を充当しても残余があれば、税金滞納者に交付する配当手続きが行われます。

滞納状態で放置してしまうと、延滞金も増えてしまいますので、納税する意思がある場合には早期に役所(国税の場合は税務署)に訪問をして納税について相談をすると良いでしょう。

滞納税が支払えない場合

相続人が被相続人の滞納税を支払いたくない場合や支払えない場合には、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことで、滞納税の支払う必要がなくなります。また、一度相続放棄をしてしまうと、たとえ相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内でも撤回することはできません。
なお、相続税の計算上、被相続人の死亡保険金は相続人1人につき500万円まで非課税とする扱いがありますが、相続放棄した人が支払いを受けた死亡保険金は、この非課税の取り扱いが適用されませんので注意が必要です。

また、被相続人の滞納税等のマイナス財産がどの程度あるかが不明であり、プラス財産が残るような可能性がある場合には、相続人が相続したプラス財産を限度としてマイナス財産を承継する限定承認という方法があります。
この限定承認は相続人全員で共同して行う必要があります。
通常は、相続放棄より手間がかかることが多いです。
また、限定承認を行うと、被相続人の相続財産について相続開始時の時価で譲渡したものとみなして譲渡所得税が課税されてしまいますので、注意が必要です。

相続放棄も限定承認も3ヶ月の熟慮期間経過後では原則として行うことができませんが、判例によれば3ヶ月以内に相続放棄や限定承認を行わなかったのは、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じていたためである等、相当の理由が認められる場合には3ヶ月の熟慮期間を経過しても相続放棄や限定承認が行える場合もあるとしています。
また、限定承認をした場合には、家庭裁判所が発行している「相続の限定承認申述受理証明書」の写しなどを地方自治体に提出しなければいけません。

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