遺留分侵害額の計算で連帯保証債務は控除できるか

遺留分を計算するときには、債務を控除できるのが原則ですが、被相続人が連帯保証人だった場合に連帯保証債務は控除することができません。ただし、連帯保証人が保証債務を負担することが確実になっているような場合には控除される可能性があります。
今回は遺留分侵害額の計算方法や連帯保証債務を相続したくない場合の手続きについてお伝えいたします。

被相続人が連帯保証人だった場合

遺言で遺産を一部の相続人だけが相続をし、他の相続人から遺留分侵害請求を受けた場合に連帯保証債務はどう扱われるのでしょうか。
遺留分を計算するときには一般の債務は控除することができますが、連帯保証債務は当然には控除されません。
そこでどのような場合には控除されるのか、また連帯保証人の地位を相続しない方法もお伝えいたします。

遺留分侵害額請求につきましては、こちらを参考にしてください。

遺留分侵害額請求として請求できる金額の計算方法ですが、遺留分侵害額は遺留分権利者が遺言の内容に沿って実際に相続する財産が、最低限の取得分である遺留分を下回る場合のその不足額です。
①遺留分の額を計算する
遺留分計算の基礎となる財産額×個別的遺留分の割合
遺留分計算の基礎となる財産額は、被相続人が相続開始時に有していた財産+生前贈与などの額−債務額
個別的遺留分の割合は、おおよそ法定相続分の2分の1になります。(相続人が直系尊属のみの場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は異なります)
②遺留分権利者が遺言の内容を踏まえて実際に相続する財産額を計算
③1から2を差し引いて遺留分侵害額を計算します

遺留分侵害額の計算には、債務額も計算に含まれているので、連帯保証債務も考慮されるように思えますが、保証債務は本来支払いをしなければならない人(主債務者)が支払わないときに、保証人が肩代わりして支払うものなので、保証人が必ずしも債務を支払うわけではないということが理由で侵害額の中に含むことができません。
また、仮に保証人が債務の支払いをした場合には、保証人は肩代わりした分を主債務者に対して返してくれと請求をすることができますので、必ずしも保証人が保証債務を最終的に負担するわけではないので、原則として控除することができなくなっています。

連帯保証債務を控除できるケース

最終的に保証人が債務を負担しなければならないような場合には、保証債務額を控除できるとされています。
主債務者が債務を支払うことができず保証人が代わって支払わなければならず、しかも保証人が主債務者に対して肩代わりした分を返してくれと請求しても主債務者から帰ってくる見込みがない、というような特段の事情があれば、保証債務であっても遺留分の計算の際に控除ができるとした裁判例があります。
このような特別な事情があるかどうかについては、例えば主債務者の経営状況(倒産状態になっていたり、行方不明になっていないかなど)や資産状況(債務超過が継続していないかなど)、それまでの支払い状況などの事情を踏まえて総合的に判断されると考えられます。

連帯保証債務を相続しない方法

連帯保証債務を相続しないためには、相続放棄または包括遺贈の放棄をする必要があります。
相続人や、遺言で包括遺贈をされた場合の受遺者などは連帯保証債務も相続することになってしまいますので、そのような場合には相続放棄をすると連帯保証債務を相続せずに済むことができます。
ただし、相続放棄には相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったとき(受遺者は包括遺贈を知ったとき)から3ヶ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の手続きをしなければいけません。
なお、被相続人が相続人に内緒で連帯保証人になっているような場合には、相続人が連帯保証債務を相続したことを知らないまま3ヶ月が経過してしまうこともあります。その場合でも、裁判所は連帯保証債務を知った時から3ヶ月以内であれば相続放棄を認めてもらえる可能性もあります。

また、相続放棄をした場合でも遺留分侵害額請求を受けなくなるとは限りません。なぜなら、被相続人からの生前贈与や死因贈与(被相続人の死亡によって効力が生じる贈与の一種)で財産の大部分を受け取っていたような場合には、遺留分を侵害してしまっている可能性があるからです。
そして、生前贈与や死因贈与は、契約という相続とは別の財産承継方法なので、相続放棄をしても財産を受けたことをなかったことにすることはできません。

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